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「クライシュ・・・・・君?」
唖然と開いた口から出る弱々しい声。それは先程ショーを披露した人の声だった。
銀朱の守り人───フレデリカ=ツォーレン
風に靡いたくすんだ桃色の髪を掻きあげ、眩しそうに細めた目を今では、信じられないという風に丸くしている。
「クライシュ君・・・・・どうしてっ!?」
「・・・・・・・・」
フレデリカの疑問にピタリと動きが止まり、場にはしんとした静寂だけが満ちた。
・・・・・出来ることなら答えたい。でも告げたところで、信じてくれる気がしない。
なんてこと、と駆け寄ったフレデリカが狼狽える───が、さすが2つ名持ちのS級の冒険者。流れる血を見ると、手をかざして詠唱を始めた。
第7級魔法》
上位魔法に位置する回復魔法であり、そこそこの効果が望める。深くとも切り傷程度なら、時間はかかるが塞ぐことも可能だ。
また、この魔法は巫女や聖女などの回復職以外の職においては、最も効果の高い回復魔法となる。
クライシュの傷もすぐに治るかと思われた・・・・・が。
「うそ・・・・・」
クライシュを包み込んだ白い魔素は傷に集まったものの、その後の変化はなかなか見られない。そればかりか、更に大量の血が流れ出したのだ。
それを見て、絶望に満ちた表情で地に手をつく。回復職ではないフレデリカにこれ以上の手段は残っていなかった。
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