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・・・・・残された本当の最後の手段、それは。
「こうなったらもう・・・・・巫女姫様に頼るしか」
歯軋りしたフレデリカの頭に浮かんだのは、王都近くにある聖殿だった。
ランバディア帝国を覆う結界を維持する巫女姫たち。当然、回復に特化された唯一無二の特殊スキルを持っている。
彼女らならきっとクライシュの傷も治せるだろう。
本来、巫女姫様に会うには皇帝の許可が必要だが、生憎今はそんな暇はない。
「・・・・・急がなきゃ」
ひとつ呟きクライシュを背負う。べったりと血がつく生暖かい感触も、今は気にしない。
その様子を見て、ぽつりと行き場のない言葉が漏れた。フレデリカの動きが一瞬止まる。
「フレデリカ、さん・・・・・」
「・・・・・話なら後で聞くわ。今はクライシュの治療が先決よ」
貴方は先にウェルバートの所に行きなさいと、ただ一言だけ指示を出して踵を返した。僅かに見えたフレデリカの切羽詰まった表情が、やけに目の奥に焼き付く。
───思わず歯を食いしばった。
「・・・・・わかりました」
使い魔が何か危ない目にあったのなら、繋がりを持つその契約主にも被害が及ぶ可能性も高い。
ウェルバートの身にも、何か起きているかもしれないのだ。
足早に向かう私の頬に、涙がひとつ筋をつけて流れ落ちる。───クライシュの身体を貫く、稲妻のような黒く鋭い魔素。
あれは、私のだ。
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