26.中庭にて

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となると、ひとつ疑問が残る。ウェルバートは聖殿へと送られた。なら───何の為にここにファーファラがいるのだろうか。 怪訝そうに窺うとパチリと視線が合った。 「───個人的に聞きたいことがありまして」 真っ直ぐにこちらを見る。強い視線に押されると思った、その時。 その姿が一瞬ぶれた───瞬間、ファーファラの姿は消えた(・・・)。 そして次に感じたのは背後の気配。 「貴方は何者ですか?」 「・・・・・それは私の台詞ですね」 指先から冷たい感触が伝わる。喉元に突きつけられたのは鋭利なナイフ、触れる直前にそれを指で押さえる。───衝撃で髪が揺れた、 ・・・・・切れてはいない、が。内心はヒヤッとした。 ───あっぶないなぁ・・・・・そこそこ速かったし。 ほんの一瞬の出来事。だが、そこからは相手がかなりの手練だと読み取れた。 Sランク冒険者か、それとも───その手(・・・)の職業持ちか。 私の指で挟まれているナイフを動かさずに、ファーファラは答える。 「私は一介のメイドです。コウ様が想像なされているような怪しい者ではございません」 「・・・・・やだなぁ、疑ってないですって。私だって、ただの可愛い可愛い無垢な幼女(・・)なんですから」 ええ、嘘はついていませんとも。
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