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その答えを聞いて、ファーファラは力を込めるがナイフはピクリとも動かない。それを一瞥し変わらない声音で問う。
「・・・・・、貴方の出身地では、振った刃物を指で押さえる事が出来る子供が幼女の定義なのでしょうか?」
その台詞は冗談なのか、はたまた本気なのか。
・・・・・もしそれが本当だとしたら、その出身地は幼女がヒエラルキーの頂点なのだろう。
冗談とも本気とも取れないファーファラの言葉に、苦笑が漏れる。
「・・・・・さあ、どうでしょう? 案外そうかもしれませんよ?」
「───・・・・・恐ろしい所ですね」
嫌な予感がして、もしかして本気で信じてます?、と聞くと、違うのですか、と驚きの声が聞こえてきた。
・・・・・本気で信じていたのか、この人は。
「冗談ですよ、まに受けないでください」
「・・・・・そうですか」
残念そうなファーファラの声。・・・・・本当に一体何を期待していたんだか。
そこでプツリと会話が途切れた。まだ指に挟まったままのナイフを見て、私は眉を八の字にしかめる。
「・・・・・、そろそろ離して頂けませんかね、コレ」
「・・・・・貴方が掴んだままなので」
「だって、離した瞬間にまた襲う気でしょう?」
掴む力を緩めずに苦笑いでそう返せば「はい、もちろん」と、即答でイイ返事が頭上から降ってきた。
・・・・・だからだよ、だから離したくないんだよ。いい加減察してほしい。
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