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「その情報を知らされてから暫くした後に、急にウェルバート様の顔色が悪くなりましたので、聖殿へとお送り致しました」
ファーファラは一息間を開ける。ゆっくりと息を吸い込んだ後、溜められた言葉を吐き出した。
「そこで巫女姫様から、原因は使い魔にあるというお言葉を頂いたのです」
「・・・・・なるほど。それで中庭で何かあったと考えた、と」
私の脳内で、巫女姫が要注意人物リストに加えられる。フレデリカやファーファラの話を聞く限り、相当優秀な能力を持っているようだ。
───バレるとしたら〝巫女姫〟かもしれない。
そして、私の発言に首を振るファーファラ。
「正しくは、何かあった、ではなく、クライシュ様に危害が及んだ・・・・・そして、その相手は白髪の女性或いはコウ様ではありませんか?」
そう疑問形にしているが、ファーファラの口調には迷いがない。しっかりとした確信を持っているようだ。
これでは何を言っても、誤魔化すことは出来ないだろう。
確かに、ほぼ正解と言ってもいい程の解答だ。間違いではない。
───事実に近い、花丸満点・・・・・と言いたいところだけど。
ファーファラからひしひしと発せられる殺気をまともに受け、ぶるりと身震いした私は思った。
正直に言ったら瞬殺される、と。もちろん、嘘をついても、だ。
命の危機を感じても尚、危ない橋を渡る行為はしたくない。むしろする人は相当な物好きだ・・・・・いや、無謀なだけかもしれない。
生憎、温室育ちのチキンである私は、相手の精神を逆撫でしないよう笑顔で答えをはぐらかす。
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