27.漆黒

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幸いなことに、私物云々は着用中のローブ内部に入っており盗まれる心配はないが・・・・・。 ちら、とソファーの影から青年をこっそり覗く。 こちらに背を向けているので顔は見えないが、漆黒とも呼べる黒く艷めいた髪が見えた。 そして、魔素の色は───白。 だが何処か感じる違和感に、私は首を捻った。普通の白い魔素なのに、何か違うような・・・・・。 あと少しでソレがわかる───その前に、私は再びソファーの影に身を潜めた。 ───あのまま見続けていたら、危ない。 見てはいけない、見破ってはいけないと第六感が告げていた。 にしても、と膝に顔をうずめる。 ───あの人は何の目的でここにいるんだろ? 仮眠か? 素晴らしい仮眠を取るために、厳重な警備を掻い潜って城内に潜入し客室の高級ベッドを使う。───うん、私だったらそんな面倒なことやりたくない。 なら、私に会いに来た? ───生憎、不法侵入をするような人と知り合いになった覚えはない。そもそも、黒髪の知り合いはいない。 結局、じゃあなんで?という疑問が残ってしまった。これでは思考した意味が無い。 ───こっちは今色々と忙しいのに、全く・・・・・。寝たいのは私も同じだというのに。 当のご本人はまだお休み中のようで、すやすやと穏やかな寝息が聞こえてくる。
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