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これはどんな状況だと神に問いたい。───是非とも全知全能な神様に教えていただきたいものだ。
いや、状況を説明するのは簡単である。
───現在、侵入者くんとアフタヌーンティーと洒落こんでいる所、とでも言っておこうか。
どんなふざけた状況だと自分でも怒鳴りたいが、それが現実起きているからこそ困っている。
───・・・・・この変な空気だけでもなんとかして欲しい。
そんな切実な願いも虚しく、当然現実は変わらない。ぎゅっ、とカップを持つ手に力が入った。
これは暫く付き合ってから、丁重にお帰り願うしかない。
私が謎の決断をしていると、丁度申し訳なさそうに青年が謝ってきた。
「───ごめんね、無断でベッド借りちゃって」
「それはまあ、別に・・・・・」
口ごもりながらも、横から注がれる視線から逃げるように紅茶に口をつける。
口いっぱいに広がる香りを味わってから、温かいそれを嚥下した。
───それはこの青年が入れてくれたもの。
美味い、文句なしに美味いが───これからどうすれば・・・・・。
クライシュやウェルバートのことも心配なのに、また更に厄介事が増えてしまった。
ちらと横目で青年の方を見ると、にっこりと微笑みかけられ、慌てて視線を逸らした。誤魔化すように紅茶をもう一口含む。
横からの視線が痛い。
それが敵視ではない分、余計に気にしてしまう。まるで慈しむような視線に、恥ずかしさで頬が熱くなり、思わず俯いた。
・・・・・恐らく歳下であろう青年相手に何やってるんだ、私は。
処女か、と自分にツッコミた・・・・・一応処女だったな、うん。
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