28.アフタヌーンティー

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うん、と素直に頷くと何故か笑いが返ってきた。いいよ、とにっこり笑うイサ。 「その代わりちゃんと教えてね」 「・・・・・なんでそんなに聞きたがるの?」 その言葉が予想外だったのか、イサは一瞬考え込んだが、すぐに、 「好奇心、かな?」 「だろうね」 こんな子供の話など、前菜程度の足しにしかならないだろう。聞いたところで得るものは何も無い。 が、ここでその答え以外を返されていたら、正直困っていたところだ。 例えば、そう───『世界中の子供の悩みを全て解決したいんだ!!』等というスケールの大きな願望を言われたら、どうすればいいのだろうか。 ・・・・・恐らく私では対応しきれない。 逆にその答えで安心した、と私はソファーに座り直す。まだ中身の残っているレースの袋を閉じ懐にしまうと、ぽつりぽつりと誘われるように話し始めた。 「───あのね、私の友達に怪我させちゃったんだ」 「怪我?」 「そう、今治療中なの。・・・・・この後、怒られちゃうかもしれない」 子供らしくそう言ってみたが、恐らく怒られるだけでは済まされないだろう。良くて監禁、それが無理だと判断された場合は───殺される。 王宮騎士程度が複数人ならば時間を稼いで逃げ切る方法もあるが、総出となると話は変わる。 ウェルバート、クライシュ、フィウスト、それとロレンシオ先生やノノ=シノサキか。今ならフレデリカもいる。 知っているだけでも6名。黒い魔素を満足に扱えない今では、不安しかない数である。空気中の魔素変換や宙固定の魔法陣でどれだけ耐えられるかどうか。 これも全てアリスの計画のうちなのかもしれない。
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