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何故、出口のある部屋の待機でもファーファラが許可したのか。間違いなく、アレがその理由だろう。
恐らく、あの魔素の膜は〝結界〟だ。
見ただけで効果まではわからなかったが、イサのお陰で推測は出来る。
アレの目的は出口を塞ぐことではなく、そこを通った者の反応を術者に伝えること───言わば探知の役目だ。
───なるほど・・・・・塞いでしまうのではなく、すり抜けられるようにしたのか。
フレデリカの結界を破ったということは、既に耳に入っていたのだろう。
フレデリカは結界術のエキスパート、結界術師だ。彼女を超える者でないと、閉じ込めることはできない───恐らくファーファラはそう考えた。
「・・・・・それで、あの結界ね」
結界を維持する為にも、簡単な術式を使っているのかもしれない。
さすが元冒険者だ、と声に出して感心しつつ、ソファーにすっぽりと埋まる形で身体を丸めた。自身の魔素を眺めながら思う。
───暫くは動かない方がいいか。どちらにしろ、私に出来ることはないし・・・・・聖殿なら、何とかできそう。
私は、自分が付けた傷を大したことではない、と軽視していた。ミレイヤの魔法が効かなかったのだって、効力が弱かったせいだろう、と。
───それが大きな間違いだと知ったのは、伝言を受け取ったファーファラが、再び必死の形相で入ってきた時だった。
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