28.アフタヌーンティー

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「───妾は帰る。・・・・・そうじゃな、お主の入れ込むものを少し見たくなっ・・・・・」 「ん?」 「・・・・・、冗談じゃ」 言った瞬間どす黒くなったイサのオーラに慌てて踵を返すと、ヴィヴィはパチンと指を鳴らす。ああそうじゃ、と軽く後ろを振り返った。 「・・・・・お主も早く帰るんじゃぞ。今日はカミュが料理当番じゃからな」 「はいはい、それは楽しみだね」 「お主はいっつも帰ってこんからのぅ・・・・・」 不満げにそう言った───刹那、ヴィヴィの姿は消え、風だけが残される。彼女の気配が無くなったことを確認し、イサは紅い目を細めた。 「帰った、かな。・・・・・ヴィヴィがこんな所まで来るとなんて、そんなに変だったかな」 ぶつぶつとそう呟きながら、聖殿の扉に手をかける。ふと、引こうとした彼の手が止まった。 ───濃い白色が聖殿全体を覆っている。 膜のようなその状態は、イサにとって見慣れたもの。多少荒業となるが、それらを無視することも可能だ。・・・・・しかし、無理に通るのは少し面倒である。 「・・・・・んー、いっそのこと消しちゃおうか」 考えた末に出た結論は、己の魔素性質を利用するというもの。おもむろに手をかざすと、そこに黒々とした魔素を集めた。 そして、言う。 《喰え》、と。 ボソリと呟いたその言葉。それに反応するように、手に集められた黒い魔素が膨張する。 やがて、扉以上に膨れ上がったソレは大きく広がり───。 ───聖殿全体を、闇が覆った。
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