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相変わらずピリピリとした雰囲気は肌を刺している。特に鋭い視線を送り続けていたのは、一番奥にいる少女たちだった。
恐らくは彼女たちが〝巫女姫様〟だろう。
その中でも聖殿全体を覆う魔力と同じものを持っていたのは、先頭にたっている1人であった。
他と同じ薄いレース状のドレスを纏っているものの、頭には 輪のような冠を被っている。
静かにこちらを見つめる瞳は、とても子供のものとは思えない。まるで中身を見透かすような・・・・・そんな視線。
彼女の腕がゆっくりと上がり、人差し指でこちらを指す。桜色の小さな唇が開いた。
響き渡るは、まだ幼さの残る少女の声。
「───貴様、人間族ではなかろう」
───瞬間、ピシリと空気が固まったような気がした。
動揺を悟られないように、狼狽えた表情を表に出さずにその言葉に応える。
「・・・・・いきなり、何を・・・・・」
冷や汗が頬を伝った。───これは本気でまずいのかもしれない。
確かに巫女姫ならば、そういうスキルを所持していることも頷ける。これは、そこまでは警戒をしていなかった私が悪い。
予想だにしなかった言葉に、私は思わずウェルバートたちの様子を窺った───が。
───・・・・・あれ、驚いていない?
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