29.聖殿

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相変わらずピリピリとした雰囲気は肌を刺している。特に鋭い視線を送り続けていたのは、一番奥にいる少女たちだった。 恐らくは彼女たちが〝巫女姫様〟だろう。 その中でも聖殿全体を覆う魔力と同じものを持っていたのは、先頭にたっている1人であった。 他と同じ薄いレース状のドレスを纏っているものの、頭には 輪のような冠を被っている。 静かにこちらを見つめる瞳は、とても子供のものとは思えない。まるで中身を見透かすような・・・・・そんな視線。 彼女の腕がゆっくりと上がり、人差し指でこちらを指す。桜色の小さな唇が開いた。 響き渡るは、まだ幼さの残る少女の声。 「───貴様、人間族ではなかろう」 ───瞬間、ピシリと空気が固まったような気がした。 動揺を悟られないように、狼狽えた表情を表に出さずにその言葉に応える。 「・・・・・いきなり、何を・・・・・」 冷や汗が頬を伝った。───これは本気でまずいのかもしれない。 確かに巫女姫ならば、そういうスキルを所持していることも頷ける。これは、そこまでは警戒をしていなかった私が悪い。 予想だにしなかった言葉に、私は思わずウェルバートたちの様子を窺った───が。 ───・・・・・あれ、驚いていない?
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