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───他の子もそうだけど、見た目は本当にただの子供だなぁ。
前に借りた本の内容を思い出しながら、私は前の少女を見る。
・・・・・魔法云々よりも、お花摘みだとかおままごとだとか・・・・・とにかく、そういう類の方が似合いそうだ。もちろん、こちらも人の事は言えないが。
「───そこに現れたのが・・・・・」
「巫女姫」
突然ウェルバートの鋭い声が入った。途端、巫女姫はしまったというような顔で口を両手で塞ぐ。
「話しすぎだ。・・・・・あの男の言っていた言葉を忘れたのか」
「・・・・・、すまない。だが、何故知り合いでもない少女を・・・・・・」
決まりが悪そうに視線を落とした巫女姫。代わりにとウェルバートが一歩前へと出る。もはや見慣れたイイ笑顔で腕を組んでいる。
「───さて、取り引きといこうじゃないか?」
え、とその台詞に驚いた。まだ取り引きなどという言葉が出るとは。
容赦ないウェルバートの性格からして、てっきり死刑まっしぐらになるかと思いきや、そうではないらしい。
今回ばかりはマズいと覚悟していたのだが、これは逃走ルートに入らなくても良さそうである。条件次第だけれども、上手くいけば以前のニート生活も夢じゃなさそうだ。
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