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と、なると彼は私と同じ魔族ということになる。──彼に聞けば私自身の正体もわかるかもしれない。
今すぐにでも聞きに行きたいが、そもそも彼の居場所を知らない。それに、しばらくは下手な動きを見せるのは、控えた方が良いだろう。
(・・・・・・こればかりは仕方がない。次に会った時に聞いてみよう)
ポフとベッドに横たわる。部屋に1人しかいないことが余計に寂しく思えた。ぼそり1人呟く。
「・・・・・・幸か不幸か、私の正体を知られたのは城内の一部のみ。それでも、これからは以前の暮らしは出来なさそうだね」
紅い月の日さえ無事に終われば、今まで通り城には置いてくれる。最初の思惑通り、戦力になることを理由に、だ。
いつぞやかの氷の巨像も良いアピールとなったのだろう。そうだ、あのショーが始まりだった。
お陰で手に入れることが出来たこの生活。ギルドでちまちまと働くよりは全然良い。
──そう考えると、相当私は運が良かったようだ。出来ることならこれからも、ここで過ごしていたい。
だが・・・・・・。
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