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「何でって、あなたが連れてきたんでしょ?」
ヒメはムッとして頬を膨らませた。
「ああ……確かにそうだけど……
えっと……」
ヒメは寒そうに体を震わせる。
十月の夜の風は冷たい。
「ねえ……中へ入らない?私寒いの苦手……」
「わ、分かった分かった……行こう」
――そんなやり取りを思い出して居たら、ヒメに頬をつねられた。
「いっいて……っ」
「ねえ、お風呂入ってきていい?」
心臓が盛大に暴れ出す。
「おっ……」
「……女の子を連れ込んでおいてお風呂の用意もないわけ?」
「あ、いやそうじゃないけど……」
俺は慌ててベランダに干してあるバスタオルを取り込んでヒメに渡す。
タオルは乾いてはいたが夜風で冷えきっていた。
「つめたっ」
ヒメはタオルを手に洗面所へ入って行ったが、何秒かしてひょっこり顔を出した。
「ねえ……着替えってあるの?」
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