夜明けのファルセット

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ビンタが頬を直撃する前にその手首を掴むと、ヒメは絶望した様な目で見た。 「ヒメ……優しくするから」 身体中、頭の先から指先まで至る処が心臓になった様にバクバクと脈打つ。 今すぐ、どうしてもヒメが欲しい。 だがヒメの泣き顔を見て、俺はそれ以上動く事が出来なくなってしまった。 「お……ねが……っ……まだ……無理……」 「ヒメ……」 「好き……好きだから……私も好きだから……今夜は止め……」 「……っ」 力一杯抱き締めて額にキスをする。 「ごめんね……ヒメ……泣かないで」 腕の中でしゃくりあげてヒメは俺を睨んだ。 「謝っても許さない!」 「えっ」
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