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ヒメの寝顔はまるで小さな女の子の様で、守ってあげなければならない存在に思えた。
――不思議だ……
昨日までは、君の事を全く知らなかったのに。
なのに、今君が愛しくて仕方ない……
ヒメに伝えたい想いは、言葉にすると全てがただ甘ったるくて陳腐だった。
だがそれ以外に言葉が見付からなかった。
メロディーや歌詞が浮かぶ度に口ずさみ、そのくだらなさに苦笑しながらも俺はヒメに贈るラブソングを刻んでいった。
世の中に溢れる位ラブソングはあるけれど、この曲は君だけの物。
今までバカにしていたが、ラブソングを歌う事がこんなに心をさらけ出す勇気を要するとは知らなかった。
俺はその事に愕然とした。
今までの思い込みを、あっさりとひっくり返して見せたヒメに畏敬の念さえ抱いた。
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