Better Half

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「純って、関西弁で話してると、性格も思考回路も変わるから、可愛い。」 やっぱり、今日の美子はどこかおかしい。やけに素直で可愛げがある。 「もう、ええわ。それで、愚痴ってなんや?」 私がそう聞くと、彼女はジョッキの酎ハイを半分程飲み干して、この間昇進した同期の同僚の事を愚痴り始めた。 その内容は、彼女の方がオフィース内の人望も厚く、米国の本社とのコミュニケーションも上手くでき、TOEIC の点数も高い。5年間、有給休暇も使わず、無遅刻等。超真面目人だ。 私とは正反対だ。有給は確実に消化するし、月に二、三度は遅刻する。仕事上の大きなミスはした事がないが、書類にプチミスをする。その上、手書きの文字が汚ない。 三杯目のビールと酎ハイとツマミを追加オーダーする頃には、店はほぼ満席と成り、ざわつきの音量もマックスとなる。もちろん、アルコールが回り出した美子の声も大きくなっていた。 「外資系の企業だったら、女性差別なんて無いと思ってたのに、本当最低。」 「女性差別とか言う時点で既に性差別が始まってるんちゃうか? 社会制度がそう成ってんねんから。」 「訳分かんない。じゃあ、どうして男の方が早く昇進して、平均収入も多いのよ。それってやっぱり性差別なんじゃないの?」     
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