フウセンカズラ

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座席のサイドについている細い鉄製の柱に、身を精 一杯寄せて入ってくる人の波に耐える。 なら、波に押されて素直に奥へ行けよ! とも思うだろう。 だが、しかし それは私にとって地獄以外の何物でもない。 なぜなら、小さい体格……つまり当然身長も低い。 四方を人々に囲まれようものならば、おしくら饅頭 状態になり朝からフラフラになってしまう。 それだけは断固拒否! 乙女の生存をかけた戦いなのだ! そして、ゆっくりと扉は閉まる。 「ふぅ……」 どうやら定位置を死守できたようだ。 これで少しは大丈夫……。 地下鉄は再び走り出す。 しかし、何かが違う。 人の壁が押し寄せてこない。 理由は何となく分かっていた。 「よっ!おはよう」 話しかけてきたのは、幼馴染みの香だ。 「おはよ~」 私は安心したように目を細めた。
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