紫陽花の花言葉

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扉を開いてくれたのは黒の革ジャンにデニム姿の男性。 手の甲に竜の入れ墨、耳には釘みたいな太いピアスとガッシリとした身体つきは、見たからに悪人と言った感じだ。 私達を見て一瞬「はあ?」と目を丸くしていたが、すぐに無表情になり、奥に進むよう合図された。 扉の先は冷んやりとしていて、一瞬牢屋の中かと思わせるような石造りで覆われた何もない部屋だ。 スタンドランプが隅のテーブルの上に置かれてるが明かりはぼんやりとしていて、微かなオイルの匂いが鼻を掠める。 上が高級クラブとは思えない雰囲気で、高そうな椅子に一人座り、両サイドを囲んでいる虎人間がこちらを黙って見据えていた。 恐らく中央に座っているのが面接をする奴で、両脇を固めてるのは手下だと思われる。 明かりは顔の付近が見えないよう細工してあったが、犬螺眼でしっかり見つめると、フッと口角を上げ真ん中の男が口を開いた。 「なるほど……試験を受けに来たのは間違いないようだが、どちらからにしますか?あまり時間が取れないもので」 「私は妹なので遠慮して、まずは姉に譲ります」 『おいっ!』と目を見開いたが、何かあれば逃げますという表情の瑠里に溜め息が漏れそうになる。 「では、率直にいいますが……武器を使っても構いませんので、殺し合いをしてもらいましょう」 両サイドの一人が一歩前に出ると、素手だが腰の辺りに膨らみがあり、明らかに銃を持っているのが分かる。 「すいません、面接は受けに来ましたが、殺人者になるつもりはないです。まだドタキャン利くなら帰ってもいいですか?」 ピリッとした空気が走った後、瑠里は瞬時に入り口に走り、迎えてくれた男性が倒れるのが音で分かった。 「ほぅ」と手で顎を触る真ん中の奴も気になったが、目の前にいる男から視線を外す事が出来ない。 「妹さんは合格にしましょう。獣のように俊敏でパワーもあるし、武器を蹴る抜け目のなさも気に入りました」 冷たい風が通ってる筈なのに、額から一筋の汗が出ているのは、敵の強さというか怖さを表してるようでグッと拳を握り直した。
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