紫陽花の花言葉

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「今日はたまたまつけてるけど……別に金持ちを鼻にかけとる訳やないで?こういう店に来る時だけや。女性を嫌な気分にさせたのは心外やわ」 「いえ、もう気にしてませんから……そうですよね、何処かの社長さんともなれば指輪位つけますもんね――?」 意外に気にしてるので思わずフォローに回ってしまったが、気を取り直したように懐から銃を取り出した。 「ちょ、ちょっと!だから全員殺さなくても怪しい人だけに絞るとか……」 無意識に両手を上げて前に乗り出したが、そこまでしてこの人達を守るのも疑問だし、その世界のやり方に口を出すのもどうかと思い直し後ろに下がった。 「一応今日集まらせたんは全部『怪しいと思った奴』や。疑わしくば殺れがワシの座右の銘で、ここまで成功したのもそのおかげや。因みに……姉ちゃんは誰が怪しいと思うてる?」 いきなり振られても、パンを選ぶ感覚で決められないというか、この一言で誰かが撃ち殺される可能性もある。 それぞれの心臓辺りを目をやったが、残念なことに魂が黒い者が一人混ざっていた。 でも答えようかどうか迷い、右肘に手を当てソワソワしていると、待ちきれない様子でオッサンの方から声を掛けてきた。 「姉ちゃん、分かってるみたいやな。こっそり指さしてくれたらコレだけやるで?でも……もし断ったら、時間を無駄にしてしもたから、役立たずな用心棒として隣の兄ちゃん撃たせてもらう」 「ーーなっ!」 二コリと微笑みながら、左手は五本指を広げ、右手には銃を持つ悪魔に、眉をひそめリーダーに耳打ちした。 「あれって…いくらなんですか?五千円なのか五万なのか…」 「そこじゃねーだろ!俺が殺されそうな事心配しろや」 「まぁまぁ、そんな目くじら立てなくても、イザとなったら全員消して『殺されそうになり抵抗しました』って言えばいいでしょ?」 私の答えに今度は商人の方がグフフと笑い、姉ちゃん中々のタマやなぁウチで働いてくれへんかと、勧誘されていた。 「意外と律儀なんで、リストラされてから考えます。因みに…怪しいと思ってる奴はそいつですが、銃を撃っても無駄ですよ」 稲膜でガードしてみたが、商人は本当にダメか確認するように、バンバンと二発撃ってから笑い転げていた。
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