紫陽花の花言葉

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兎の世界で社長とキャバクラで待ち合わせをした事があるが、可愛い子達がセクシーなドレスを着て来客者を楽しませお金を積ませる印象が強い。 大人の世界でヤラシイ事も言われそうな……とキツネが客だった場合の想像に変わりイラついてきた。 でも高級の会員制クラブはそういうのだけではなく、知識や知性、所作や言葉遣いも求められ、喧嘩も多い分巻き添えにあって殺される事も少なくない。 客によって話についてこれないと席を変わらせたり、間違った言葉使いで暴力を受ける事もある。 なので初対面というか、チラ見した時に『一本筋が通っている美人』という印象だったのかもしれない。 「私の席にいた子、仲良くしてたホステスが喧嘩に巻き込まれて殺されて、かなり動揺してたしほっとけなくてさ、そうしたら他の女性達も『次こっち来て』みたいな視線送られて」 「瑠里……なんか数時間で大人になったね」 少し泣きそうになり目頭を押さえたが、妹の言葉には続きがあった。 「どの席回っても女性がチップくれるし、客から貰える時もあるし、次もフロア担当がいいな。客に頼めば料理もドリンクも注文してくれるし最高だよ」 「……あっ、そう。なんか本当にホステスの役で入れそうだよね、イザとなれば戦えるし、最強のナンバーワン目指せるんじゃ…」 「いや最終的に『闇のボス妻』とか、だってマフィアのボス騙してとりいれそうな気がしない?」 「…………」 言葉を失い帰りの支度をすると、リーダーも黙ってついて来て、三人で寮というなのマンションに戻った。 執行の時とは違い、一発勝負じゃない潜入の仕事は慣れてないのもあり結構キツい。 帰ってからは爆眠し、あっという間に次の日の夕方になると、ドラム缶がドスドスと足音を立て早く起きろとやって来る。 一回で起きれたらいいが、妹みたいに何度呼んでも寝ていると、最終手段としてイナリ達に『顔を舐められる刑』で起床させられる。 それはご免なのですぐに起きて支度を始めるが、何度も同じ目に合ってるのに、妹はそういうところは学習がない。 一気に支度を済ませおにぎりを頬張っていると、母の読みかけの『花言葉の本』がテーブルに置いてあり目に留まる。 虎の世界は夜だけしか行ってないが、紫陽花が有名で、働いてる高級クラブの名も『紫陽花』というほど。
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