鷹人間の眼

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受付の木村さんは、王子達を見ると微笑み挨拶をしてくれる。 ロッカーで着替える時、イナリは入口で待つのに、キセロは中に入りガン見するので、何となく隠してしまうのは乙女の部分が残ってるのかもしれない。 でも少しするとクルクルゥとイナリが奇妙な鳴き声を出し、キセロは『はい、はい』というように尻尾を下げて入口に向かう。 「王子の態度にキュンとくるんだけど、泣き方が『犬』じゃないんだよね」 着替えを済ませ指示された部屋でコーヒーを飲み、王子達にオヤツをあげていると、瑠里以外の萌葱チームが入っていた。 久々に見る和音さんにドキッとしたが、アイドルのプライベートを、一般人が垣間見た気分だ。 少しだけ気まずいのもあるので、こういう空気は早く奪回したい。 「昨日も大変だったらしいな」 「ええ、リーダーは『紫陽花』に行かなくていいんですか?」 「あそこの住人じゃない!それに、任務は終わったからな」 ツッこみつつも寂しそうな表情だが、私も同じ気持ちだった。 潜入していた人数が一気に下がったが、トップの知り合いで代理が補充されたと聞き、納得するしかない。 「仲間意識が固まり羨ましいですね。こちらは疎外感で一杯です」 和音さんがこちらを見ていうのでドキリとする。 「何言ってる、お前が一番美味しいだろ!美人に囲まれキャーキャー言われて。こっちは毎日喧嘩の仲裁でイカツイ野郎ばっか」 「えっでも、リーダーは住人並みに馴染んでたし、ホステスさんからも人気でしたよ」 人気という言葉を素早く拾い顔を赤くするリーダーに、啄は面白くなさそうだった。 「チェッ、虎の世界は危険だが食べ物上手いし、お前らだけいい思いしたんだろ?」 「じゃあ代わりに行って来いよ、こっちは銃を向けられたり空に放り投げられたり、二度と仕事はご免なんだよ!」 それを聞くとプッと笑い、ボンレス体型の肩が少し揺れ、人の不幸を聞き満足したようで苛立ちが湧いてくる。 「ホステス役もしたでしょう?言い寄られたり、今後デートする約束とかしてないんですか?」 一難去ってまた一難とはこの事だろうか、和音さんから質問が飛んできた。
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