鷹人間の眼

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「お待たせ、調べてみたけど異常なかった。見た目は綺麗な袋と中には紙きれだけ」 「有難うございます」 雁木に貰ったお守りは、八雲さんから木村さんへと渡してもらった。 いつも無意識のうちにチカラが入ってしまうので、用心をしようと判断し、悪いけど八雲さんに預けたままにしていた。 「いつもズルいよね、姉妹だけ……」 遅れてきた八雲さん達は、ステーキを食べながらこちらを見ている。 「まあ……俺らでも凄いって思う位だから、他の世界の奴らは直感で分かるんじゃないの?化け物同士」 「滋さん、姉はまだしも……私は忍者もしくはスナイパーⅩと呼んで下さい」 そこは一緒に否定でいいだろうと瑠里を睨んだ。 「瑠里ちゃん、残念ながらまだスナイパーとは呼べないな。それは俺だし、もう少し腕を上げたら考えてもいいよ」 「な、本当のスナイパーⅩはワシじゃ!青二才め」 結局みんな『自分が一番』だと思っているので、勝手に切磋琢磨して欲しいと視線を逸らした。 目の前に置かれた袋を見ると、紫に金糸の刺繍が施され小さくて可愛い。 指でチョンチョンと突いてみたが、特に変化はない。 そうっと持ち上げてみたが何も起こらなかったので、瑠里の前にも置いた。 キセロは妹の膝の上にいたが、私には見せない安堵した表情で今にも眠りそうだ。 「姑息な性格だよ全く、瑠里にはいい子ぶって……」 「まあまあ、そう怒りなさんな。結構いい所もあるんだよ?」 瑠里は嬉しそうに頭を撫でていて、仲の良さが羨ましくもある。 「今度は連れて行ってね、二匹の面倒は大変だもん」 クレームを出してみたが、何事も修行だとあっさり交わされた。 赤飯は持ち帰りにしてもらい、瑠里の『初狙撃』に社長は上機嫌で見送ってくれたが、私は早く眠って頭を真っ白にさせたかった。 家に着くと滑り込むようにベットに入り、目が覚めたのは昼過ぎ。 イナリがバタバタと部屋の中を走り回っていて、その音で起こされた。 何気にイナリを見ると、口元に昨日貰った鷹人間の袋を咥えている。 「ちょ、ちょっと!それ食べ物じゃないから」 慌てて引っ張ると小さな巾着の紐がプツッと切れ、紙が砂のようにキラキラと舞い上がり、鼻に入って大きく咳き込んだ。
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