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その再会から何回か、二人は同じ時刻の同じ車両で偶然にも遭遇した。
そしていつしか、二人はその時刻の地下鉄に乗れた日には再会した時と同じ車両を選んで乗るようになった。
そして運良く会えた日には裕子の降りる駅まで、いろんなことを話すようになった。
仕事の愚痴、子育てとの両立の大変さ、
健康や老後の事……日常で起きる些細なことも。
1日戦って疲れた心を、支え合うように、お互いに遠慮なく愚痴をぶちまけ、スッキリ笑い話になるまで昇華させてから帰宅するようになった。
似たような境遇の話せる相手がいる。
更紗にとって、それは裕子で、昔も今も変わらぬ相槌や、微笑みを裕子はくれた。
それは更紗を安心させて、癒してくれるようになってきて、更紗は地下鉄での裕子との束の間のおしゃべりをいつしか心待ちにするようになっていった。
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