第1章

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「此処、何処だ?」 男は寂れた地下鉄のトンネルの中で途方にくれていた。 満員の地下鉄に乗って会社に向かっている時、前に立っていた女子高生にムラムラと欲情して、満員の車内で女子高生が身動きできない事をいいことに尻を撫で回す。 女子高生は狼狽身体を竦ませ逃げようとするが、満員の車内では動きようがない。 それにつけ込んで更に撫で回そうとした時、腕を捻るように頭上に上げられ罵声を浴びる。 「この屑野郎! 嫌がる女の子に何をやっているのだ!」 隣に立っていた若い男に腕を掴まれていた。 駅に着き扉が開くとホームに引きずり出される。 駅員が警官を伴って階段を下りてきたのを見て、腕を掴む手を振り切り階段とは反対側のホームの先端に逃げ、そのまま線路に飛び降りトンネルの中に逃げ込む。 次の駅まで歩いていたが線路は幾つにも分岐していて、気が付いたら寂れたトンネルの中で迷子になっていた。 頭に新聞の見出しが浮かぶ。 トンネルの中に逃げ込んだ痴漢の遺体見つかる、と。 トンネルの中で野垂れ死にするかも知れないという恐怖を振り払うため、微かに電車の音が聞こえる方へ歩きながら、女子高生の尻の感触を思い出していた。
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