柔らかくて甘く冷たい舌

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「何? 二人知り合いなの?」 我に返ったヨシキが落ち着いた頃、狐につままれたような顔であたし達を見ていた。 「知り合いも何も――あたし達、双子の姉妹だもんねー、ア、イ、ナ」 ……やめろ、その名で呼ぶな。 「双子って……だって、顔が全然違うし、しかもアイナ、って?」 なぜか上機嫌で下着を身につけながら、ユキナは楽しそうにあたしに微笑んでいる。 「ほーらー、元カレさんが説明してって頼んでるよー、アイナ」 あたしの嫌いなタレ目をちらつかせながら、甘ったるい喋り方でイジメてくるユキナ。 「相変わらずだね、ユキナ」 「相変わらずなのはどっちよ。冷ややかなその瞳は、整形したって同じね」 「せ、整形?!」 いちいち甲高い声で驚いて見せるヨシキにイラっとしながら、あたしはため息をついた。 ユキナは知っている。 あたしが隠し通してきたことを全部知っているのだ。 さすが蛇女だな。 ここまでくると、ある意味尊敬する。 「ユキナ……あんた、あたしがここに昼間の内に来るってことも全部計算済みでしょ」 「当たり前でしょ。だってあたしはあんたの半分だよ」 「やめて」 「アイナを探すのどれだけ大変だったか、知らないでしょ。大学卒業して、二年も姿をくらまして」 「やめて」
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