恋は身近に

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大学までは最寄りの駅から地下鉄に乗って20分。 朝一以外の時間はそんなに混んでいないことが多いけれど、朝一の時は首都圏でもないのにギュウギュウだ。 今日も混んでる。 滅多に開かないドアの方へどんどん押されて、ドアの窓に映る自分とおはようございます。冴えない自分の顔が地下鉄だと外が暗いせいでしっかり映る。こんなに自分の顔を近くで見ることってメイクする時以外ないんじゃないかな。 ああ、自分の顔が近い。いや、近いどころじゃなくて、もがっ。 押しつぶされた! と思ったら、あれ? なんか少しスペースが出来た。 私の顔の横に手があった。細いけれど大きくて、関節がしっかりとした男性らしい手だった。 なんていい人! そろそろと目線を上げて、窓に映るその人の顔を見た。 ! 「松永……」 「おう、おはよう。大丈夫か?」 「大丈夫」 同じ学科の同級生の松永だった。 正直に言います。 私はこれで彼に恋に落ちました。 仕方ないよね?
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