第1章

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友人達と海に遊びに行って帰宅途中、地下鉄に乗っている時だった。 何の前触れも無く突然電車が大きく揺れる。 急ブレーキがかけられ、僕達乗客は手すりや吊革座席にしがみついた。 電車が止まった時には揺れは収まっていたが、電灯が消え真っ暗な闇が広がっている。 後方の車両から懐中電灯を持った車掌が現れ、乗客に「暫くこのままお待ちください」と言いながら、前方の車両の方へ進んで行った。 僕はスマホを取り出し、家に電話をかけようとしたけど繋がらない。 何度も何度も試みたけど駄目、周りにいる人達全員がスマホやケータイで電話をかけようとしていたけど、誰も繋がらないみたいだ。 僕達がスマホやケータイと格闘している時、前方の車両に行った車掌が、運転手や前方の車両に乗っていた乗客達と共に戻ってくる。 乗客は皆スマホやケータイから顔を上げ車掌を見た。 車掌は不安げな目で自分を見つめている、この車両の乗客に説明を始める。 説明を要約するとこういう事らしい。 先頭車両の前方2~300メートルの所に次の駅があるのに、天井が崩れ線路が土砂で埋まりたどり着けない。 指示を仰ごうにも、地上の管制室と連絡が取れず指示を受ける事も出来ない。 仕方がないので後方にある前の駅を目指して、歩いて脱出する事を決めたとの事だった。 僕達は荷物を持ち皆の後ろを歩む。
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