第一章 蒼青ー出逢いとはじまりー

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「────っぅ!」  目に刺すような痛みが走る。すると少女の背中には、赤い光の翼が生えているように見えた。 「え……何、これ……天使……?」  口をついて出た言葉は、それだった。  しかし瞬きをしてもう一度見ると、その翼は消えていた。 「一体、何が……えっ……!」  そして、もう一つ大事なことに気づいた。 「何で……無傷……?」  凄まじい勢いで地面に叩きつけられたはずなのに、少女の身体には、擦り傷も、一滴の血の痕さえもなかった。  あるとすれば、身に付けていたワンピースが金属類によって切り破られていることくらいだろう。  たしかに鈍い音がした。身体を打ち付けたような音が。  けれど、少女にその傷は、一切残っていないのである。  治癒術を誰かが施したというのもあり得ない。だとしたらその人物はどこに消えたのだ。 「…………けて……」 「え…………?」  声が、聞こえた。  他の誰でもない。それが少女から発せられたものだと気づくのに、時間はかからなかった。  近寄ったレイスの服の裾を華奢な手で掴み、少女は呻く。 「……たす……けて……」  そう、唱えた。  少女の頬を一筋の涙が伝う。そして力なく腕を落とし、動かなくなった。
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