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「うーっ、食った食った」
「焼きうどん食いすぎだよ」
「お茶ちょうだい」
ほうじ茶が少し残った急須にポットのお湯を継ぎ足す。
「ねえ、お兄ちゃん」
「ん?」
「今、私が食べている焼きうどんの栄養が、半分ずつ私とこの赤ちゃんに届いてるんだよね」
「うーん」
「私と赤ちゃんと半分ずつなんだよね」
「うーん」
「うーんってなによ!半分ずつでしょ!」
「そう言われてもな。おれにはよう分からんよ」
「ん、もう!半分ずつに決まってるでしょ!」
「まあ、そうかもしれないな」
「私の半分があなたなんだな、ってそう思うの」
妹は自分のお腹を見つめている。つられて僕も妹のお腹を見つめる。
「だからさ、この子の一部はお兄ちゃんでもあるんだよ」
「どういうこと?」
「だからさ、私とお兄ちゃんって同じもの食べてたでしょ」
「そりゃあ、家族だからな」
「そういうことはさ、同じ食べ物からつくられた体を持ってるってことじゃない」
「そうかな」
「だから、お兄ちゃんと同じ体を持った私が産んだ子には、お兄ちゃんと同じ部分が入ってるってことだよ」
「なんか強引だな」
「そうなの!だから、お兄ちゃんもこの子の面倒みないとダメなんだからね」
「なんでそうなるの?」
「そうなの!約束だからね!」
ゆびきりげんまんさせられた。
「はい、契約成立」
えへへー。ごまかすように、ほうじ茶をすする。
「はいはい、わかりましたよ」よっこらしょっと。プリン食べよ。確か冷蔵庫に入ってたはずだ。
「あ、プリン食べたくなった。ちょうだいよ」
「やめとけよ。食いすぎだぞ」
えーっ、ちょうだいよ。
しょうがないな。
えへへー。
目を細めて、妹は口を開けた。
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