半分だけ。な? 先っぽだけでも

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「出ないよ。大丈夫。大ジョブだから! お前にだけツライ思いはさせない」 「こんなに上気させて。……ね? ツラくない? ぼくのために」  その時! 金剛くんの怒号が、この広い大浴場を、煙をぬって鳴り響いた。 「うぬぼれんな! おれは好きで、そう決めたの」 「分かった……」 「なに? どう分かったっていうんだよ……」  あぁイイ。  まじもん。イイ。 「だから、分かった……って。意味」  そして、はじまった。  沢尻くんの体は震えていた。  初めての……。 「あっ……つぅぅ。ン! はぁ。ぁぁあ! あひぃ」 「大丈夫か!? 無理すんなよ」 「大丈夫……」  潤んだ目で、答える沢尻くん。  そしてこう付け加えた。 「ありがとう」  もう涙で前がかすんで見えないや。  クラスのみんなも、同じ気持ちさ。  みんなからの、心からの、無言のエールを、その時、金剛くんも。もちろん沢尻くんも、感じ取っていたに違いない。  ”ハァ ハァ ハァ”  ”あぁ……あぁ。あぁ、もぉ! あぁ……”  ”ハァ……ンぐ” 「悪いっ! おれの方が先にぃぃぃ、っ!」 「だって、先に我慢してたの金剛くんだから、しょうがないよォォーっ!」 「ハァ。ハァ。で、でるぞ!?」 (つ、い、に……) 「ぁぁあ、あぁっぁ。待ってーン! も、ぼくも もう限界だよ」  ”あああああああああ!”
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