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「あれっ? ここには乗客が居るよ」
「邪魔しちゃ悪いよ、ジョパンニ。
やっぱり、ボクらは前の車両に戻ったほうがいい」
「そうだね カムパネルラ。
じゃあ、どうも失礼しました」
がらがらがらっ。
「なぁんだ。違ったわん。車掌なんかじゃ……あれっ?」
がたがたがた。
「どうしたの? ミアン。なに震えているのわん?」
「ミ、ミーにゃん。これはアノ話じゃい。別にゃ話にゃん」
「別な話? なんだっていうのわん?」
「原本とにゃったほうの話にゃ。
ウチらが乗っているのは死出の旅路を走る列車にゃのにゃん」
「そ、そんなぁ!」
がたがたがた。
「ミ、ミアン、アレ見て。南十字星よ。サザンクロスが見えてきたわん」
「怪談じみてきた、どころじゃにゃい。
ウチらは今、怪談の真っ只中にゃ。
おのれの死と向き合っているのにゃん」
「きゃあああ!」
「ふにゃあああ!」
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