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「思いやりじゃないの？」
「違うよ」
「じゃさ。優しさって言い替えたら？」
「胃薬だし」
「あ、でも病は気から、って言うよね。薬も、プラシーボってあるじゃん。
さあ、この薬、思いやりは右でしょうか、左でしょうか。
『あっ、全然気持ちが楽にならない。消炎鎮痛剤の方の半分だった―』なんてね」
「くだらねえ」
「もしかしたらさ。消炎鎮痛剤の方を飲んだのに、優しい気持ちになって、『お母さんに会いたいなあ』なんて思う人もいるんじゃない？」
「いねえよ」
「そのうち、闇のブローカーが現れて、『思いやりの部分だけ売ります』なんて言ったりして」
「それなら、胃薬100％を『思いやり薬』って売り出したらいいんじゃないか？」
「あ、そうだね。ブリストル、どう？ そんな薬を作らない？」
「作らねえよ」
完 2017年 5月 31日
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