subway

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ゴオオ。という音が響いてくると眩暈がしそうになる。 深い闇の奥には何が潜んでいるんだろうか……その闇の先には何があるんだろうか…… ここに居る人間はきっと誰一人としてそんな事なんか考えていないだろう。 何もない。 何も考えない。 ただ、そこにやってくる箱に乗り込み、闇に運ばれる。 闇を抜けて、出口に向かうまで、きっと誰も何も考える事なんかしないのだ。 足元に風が絡みつく。 闇の奥から光がやってくる。 飲み込まれそうな錯覚に陥る。 この闇に引きずり込まれたら、どこへ行くのだろうか? でも、それも悪くないかも知れない……くだらない毎日はそこで終わる。 でも、こんなくだらない場所で終わりにするのは、もっとくだらないのかも知れない。 バカバカしい考えが妙な精神安定をもたらす。 そんな風に好奇心と不安が交差する。
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