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日本ではない、そう確信が持てたのは彼らの言葉。それは明らかに日本語ではなかった。そう、確かに私の耳には知らない国の言葉なのに頭の中でその言葉の意味が理解出来ているような…まるで自動翻訳機のように。
地球でもない、これは勘。だけど合っているのだろう…何故なら視線をずらして室内から外の景色を見た時、目にしてしまった。
真っ赤な…一軒家より大きい巨大な翼を持った生物が、金色の瞳をギョロギョロ動かして中を伺っている。真っ赤な鱗に力強い身体、そして何よりあのフォルム。正しくそれはドラゴンであった。
『…!』
見付けた! と言わんばかりにドラゴンの目にとまったのは、私だった。その巨体で強引に窓から進入しようとしてくる姿に完全に腰を抜かしてしまう。
『やっ…!』
フカフカの赤い絨毯の上に転ぶも、誰かにそっと背中を支えられる。驚いて助けてくれた人を見やるとそこにいたのはあの、赤い人だった。
『我が玉よ、大事ないか? そのように怯えなくともあれは玉を襲ったりはしない。玉の魔力に魅かれ、玉を守るのが魔物の本能なのだ』
真っ赤に燃えているような…灼熱の髪。宝石のように澄んで輝く赤い瞳。その爪や体に彫られた刺青も全て赤。赤を纏った彼は、まるで宝物を見付けた少年のような無邪気な笑みを向けるのだ。
…わけがわからない。
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