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部屋でこの世界に伝わる伝説とやらを聞かされて、その玉というのが私だという。勝手にこんな世界に連れてこられて召喚された人間の気持ちはまるっと無視なの?
冗談じゃない、私には帰る世界がある!
部屋から飛び出して右往左往に逃げ回るもあの赤い人がいつまでも追ってくれのだ。帰宅部女子にあの筋肉男子…いや、男子という表現は似合わない。恐らく三十歳前後だろうから。とにかくあの屈強な男性から逃げ切れるほどの体力はない。
『止まれ、我が玉』
『変な風に呼ばないで! 玉なんて知りませんし、私なんの力もありません! 他の国にも王や玉はいるんでしょう? ならその人たちに世界を救ってもらえばいいじゃないですか!』
そうなのだ。
ちらっと誰かが言った“七人目の王と玉の誕生だ”と。私はきっとこの世界に召喚された七人目の玉。
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