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クロスが寝ていた場所には今度は少女が寝かされていた。ジェイドは自分のマントを少女の小さな体にかけると、いつの間にか消えていた焚火をもう一度点け直した。その火に照らされて、少女の姿がはっきりと見える。年齢は10歳前後だろうか。まだあどけなさの残るその寝顔は悲しみに満ちている。本来ならば幸せそうに寝息を立てるのが似合うだろうに、この少女は夢の中でさえ何かに怯え、うなされている。
クロスが少女の頬を指で優しくさすりながら言う。
「…この子が起きたら、何があったのか聞かなきゃだね。あまり気は進まないけど。」
「そうですね。あの騎士はこの子を狙っていたようですし、手遅れになる前に原因を見つけておいた方がいいでしょう。だけどその前に…」
ジェイドはそう言うと、木々に向けて手を掲げた。すると、クロス達を囲むように枝が伸びて、まるで鳥かごのようになった。
手を下ろすと、ジェイドは呆れた目線をクロスにぶつけながら言った。
「隠してるつもりでしょうけど、まだ本調子じゃないんでしょう?そんな人が寝ずに見張ろうとしたところで何の役にも立たないんですから、とっとと寝てください。」
クロスはその言葉とともに崩れ落ちる。その様はスライムが如くである。
「そうなんだよねえええええぇぇぇぇぇ何かすごいだるいなぁとは思ってたんだよねええええええぇぇぇぇぇぇやっぱり寝ていいかなあああああぁぁぁぁぁ。」
「だからとっとと寝ろって言ってるじゃないですか。どうせクロスさんの場合は寝れば治りますよ。馬鹿だし。」
「ううぅぅぅん言いたい事はいっぱいあるけど今のクロスさんは言える状態ではないので寝ますううううぅぅぅぅおや( - ω - ) スヤァ…」
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