プロローグ

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「本日帰還しました諜報部の者から、例のものについて報告がありました」 青年は素早く身体を起こした。 「よい、続けろ」 「例のものを見つけることができるのは、作成者である賢者と、その身内である、と。三人のうちのひとりはすでに私たちの配下におります」 「やはりそうか。残りの2人には通達を出せ」 「はっ、仰せのままに」 男が去ると、青年は再び椅子に深々と腰掛けた。グラスをクルクルと弄びながらニヤリと笑う。 「『主の思し召しだ』とね」 もうすぐ、もうすぐだーー 青年の金色の髪を、ステンドグラスの虹彩があやしく彩っていた。 まるで、天使のリングのように。
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