序章

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「間違いない」 硫黄のような臭いに混じって、微かだが、ジェフは魔術による融合を感じ取った。 昔からなぜか鼻はいいのだ。魔術が干渉した痕跡などを辿ることもできた。あまり披露する機会には恵まれていなかったが。 神経を集中させると、東の方向から風に乗って流れて来ているようだった。ジェフは森に入って、すでに10分ほど歩いていた。奥に進むにつれ、見たことのないツタのような植物が生い茂っていた。 手入れのされていない森だが、さすがに学校の敷地内だということもあって危険な魔物はいないようだ。 「かなり臭いが濃くなってる。近いな…」 光の玉を増やし、杖を頭上にかかげた。すると、魔術に反応して、絡み合って視界を遮っていたツタが解け、目の前に一本の細い道が現れた。 面談のことなどすっかり忘れて、ジェフは細道に迷わず足を踏み入れた。
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