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電車に揺られていると、何故こうも眠たいのか。つり革に掴まるどころか息をするのも大変だというのに、我ながら呑気だと思ったその時だった。
「うわあああ!!」
「きゃああああ!」
突然の大きな悲鳴に無意識に視線が集まる。その中心にいたのは、人にしなだれかかる若いサラリーマン。
見た瞬間に目眩を誘うほどの、おびただしい出血量が白いシャツの背中から溢れていた。
次の駅で電車が止まると、何度も何度も同じアナウンスが流れる。警察も既に到着しており、辺りは大騒動だ。
「最近多いよね……この路線での事件。電車変えようかな……」
「うん……恐いよね……」
その背後の声に、自分もそろそろ路線変更を考えなきゃと思いながらその場を後にした。
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