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・・・・・・そんな偉そうなことをずっと考えていながら、僕、黛ましろの大学生活2年目は、1年目とほとんど変わらずに流れていくのだった。 今週は、先週と全く同じ流れで動いていく。 来週も、再来週もきっとそうなのだろう、と思う自分が情けない。
さて、僕の1週間は、1日3つの講義を5日間という、公太郎に言わせれば面白味のない時間割りでできている。
講義による拘束時間は毎日90分かける3で270分。 休憩とも言えない休憩時間を含めて朝から夕まできっちり拘束されていた高校時代とは比べ物にならないほどラクな日々だ。 あるいは、同じく丸一日学校という空間に閉じ込められる小学生よりも、1日中休みなく誰かの監視の下に置かれ続ける赤ん坊よりも、大学生という生き物は気楽かもしれない。 あくまで将来に目を瞑っていれば、だが。
僕の今日の時間割りは、1限の統計学、2限の英語、そしてお昼を挟んでちょうど今受けている3限の宗教社会学という3本立てだった。
ちなみに、今壇上で教授が熱弁している青森のキリスト教祭りの話は、僕としては結構興味深かった。 ただ、この知識が、単位を取ることと会話のちょっとしたネタになること以外に将来どのように役に立つのか、そこの講義から始めてほしいというのが僕の正直な思いだ。
そんなわけで、頭の片隅でマイナス思考を続けながら教授の話のうち重要そうな所だけをノートに書き込んでいると、3時限目の終了を告げるのんびりとしたチャイムが流れ出した。 今まで先生の声では全く起きなかった学生たちがバネ仕掛けのように身体を起こし、一斉に明るい声で話始める。 まるで、これから1日が始まるぞとでも言うかのように。
僕は筆記用具を素早くメッセンジャーバッグにしまうと、周囲の学生たちが撒き散らすきらきらしたオーラによって生まれた影のごとく、身を屈めてそそくさと教室を後にした。
近場の繁華街へ遊びに繰り出していく学生群とは反対に、僕の足はキャンパスの奥へと向かう。
(なりたい自分どうこうの前に、今すべきことを片付けなくちゃな)
そう考えて自分のマイナス思考を落ち着かせ、そうやって問題を先延ばしにしている自分に気付き嫌気がさすというスパイラルに陥りながらも、僕の足は着実に目的地へと向かっていくのだった。
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