気付けば私は

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走る。長い長い車両をずっと走り続ける。 車両を過ぎる度胸が苦しく、頭が痛く、呼吸が上手く 出来なくなっていく。 だけど私は走る。この感覚がある限り私は生きている んだから。 そして最後の車両にたどり着いた。 私はもう走る力も何かを考える余裕もなくなってい た。 扉を開け一歩を踏み出した時体力の限界が来たのか それともここの車両がそうなっているのか私は動け なくなった。 床に倒れ付し辛うじて動く手で体を引きずるように少 しずつ少しずつ前へ。 「ガハッ...はぁはぁ...」 もうダメだ。何も出来ない... 私は死ぬんだな。 「死なせないさ」 私の思考を読むように投げ掛けられた声。 私の視界は既に暗く塗りつぶされていて誰がそこに 居るのか分からなかった。 だけど私を抱き締めてくれたその人はきっと... 今の私の大切な人なんだ。 お父さん、お母さん私頑張るからね。 心配しなくても大丈夫だから。
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