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 いつからだろう。逃げ惑うアリエッタを眺めるエミリオの眼に、嗜虐的な光が見え隠れするようになったのは。  子供のころのエミリオはとても優しくて、幼いアリエッタの憧れだった。父の手伝いで庭弄りをしているといつも手伝いに来てくれて、土の中から出てきた蚯蚓にアリエッタが悲鳴をあげれば、すぐに蚯蚓を遠くにやって、「ばーか」なんて意地悪な言葉を口にしながらアリエッタの頭を撫でてくれた。  黄金色の柔らかい髪と透きとおった碧い瞳がウルバーノとお揃いで、優秀なウルバーノと比べられては落ち込んでいたけれど、何事も飄々とこなすウルバーノよりも、無邪気で一生懸命なエミリオのほうが、アリエッタの瞳には何倍も輝いて見えた。  エミリオの両親は使用人であるアリエッタの家族を本当の家族のように扱ってくれていて、歳が近かったせいか、子供のころアリエッタはいつもエミリオと遊んでいた。一緒にお風呂にも入っていたし、ときには同じベッドで眠ることだってあった。  胸が膨らみはじめた頃になって、アリエッタは正しい行儀作法を身に付けた。ようやく使用人らしい振る舞いを覚え、身分を弁えるようになった。
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