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「関谷おせーよ!」
手を高く伸ばしブンブンとふる井上。その横でいつものようにニコニコしている夏樹。
ひっくり返りそうに痛む横腹を押さえながら、熱された空気を口から吐き出しながら、俺はみんなの元へ駆け寄る。
「ハァッ、ハァ……ン、ごめん! 悪いっ! 母ちゃんが、せっかく買って
やったのにって、着て行けって、うるさくって」
みんなの顔の奥で、ふわんとした表情の夏樹が目を細めていた。
「あ~修ちゃん、甚平かっこいい~」
もう幾度となく見ている見慣れたその笑顔。なのに、バクバクと打ち付けていた俺の心臓はドキッっと跳ね上がって、ドキドキドキドキって違うリズムになっていた。
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