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武道館ライブ当日。
昼過ぎに夏奈へと電話を掛けるが繋がらない。
武道館に向かっているのか、病院にいるのか分からないまま、俺はリハーサルを始めた。
開演時間が近づくと、心臓が飛び出しそうなくらい緊張し始める。
演奏する為に用意したギターは三本。ポップな曲を奏でる為の高価なエレキギター、弾き語りで観客を魅了する為のアコースティックギター、そして……夏奈に届ける《向日葵》の曲に使用する向日葵のエレキギター。
本来なら《向日葵》はアコースティックギターの弾き語りで魅了する曲だが、アンプを通して想い出のギターで演奏していた。
純粋に夏奈を想っての事だったが、それがファンの間で様々な憶測を呼び、向日葵のギターを持つアーティストとして知名度を上げている。
でも、この武道館ライブが終わったら夏奈に渡そうと決めていた。半分は俺の物だけど、半分は夏奈の物。あの時の約束を忘れず、向日葵のギターには俺のサインも書いた。
そして、武道館でのライブが始まる。
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