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幼い頃から歌う事が好きだった。
中学生になり、父の部屋にある古びたギターを弾いて歌う。
俺の歌声を嬉しそうに聞いてくれる幼馴染の夏奈。
「和也のファン、第一号だよ」と言って、向日葵の様な笑顔を向けてくれた。
緑ばかりの田舎では、楽器を演奏するスタジオなんていらない。観客の夏奈がいれば何処でもライブができる。
夏奈のお気に入りは向日葵畑のライブ会場。ギターの音に合わせ、透き通る青空の下で夏奈と向日葵がリズムを刻む。大観衆の前でライブをしている様な錯覚を楽しんだ。
高校生になっても俺は変わらない。
安い時給のアルバイトを必死で行い、それ以外はギターに寄り添って歌い続ける。
こんな田舎を飛び出し、歌とギターでプロのアーティストになってやる……そんな事ばかりを考えていた。
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