第二歩 揺れる

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 再び伸びてきた手を必死に避けて、なんとか身を乗り出していた角田さんを座らせた。 「実は私……」  普段はためらうことを、ましてやあまり言いたくないことを、考える暇さえ与えられずに言うことになるとは。  あまり人と関わらないように生きてきた私にとって、角田さんは初めて出会うタイプの人だった。  途中至近距離にまで近寄ってくる角田さんにしどろもどろになりながら、なんとか説明し終える。人の肌に触れることができない、そのことだけを端的に伝えた。  マスカラやらアイシャドウやらで目力を増した瞳でじっと見つめられる。椅子に深く腰掛け腕を組んだ角田さんに、説教でもされるのかと身構えた。 「あなた」  先ほどとは打って変わって落ち着いた声音に、自然と背筋が伸びる。 「いろいろ大変だったのね」
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