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「みちる、くん」
『……早川さん?どうしたんですか?』
ぼんやりと声が聞こえる。
「満君は、私より年下だったんだね。しっかりしてるから同い年くらいかなぁって思ってた。年下なら、私も満君って呼んでも……いいかな」
『はい。多分年下です……って、酔ってます?電話なんて初めてですし……もしかして先輩と一緒ですか?』
これは私の独り言のはずなのに、戸惑ったような声が返ってくる。
それも、聞きたかったあの人の声。
「ううん、角田さんとはもう別れたよ。もうすぐ家に着く」
『一人なんですか?気をつけてくださいよ!』
あぁ、独り言じゃなくて、これは夢か。
やっぱり優しいなぁ。夢にまで返事をしてくれるなんて。
しかも、私を心配してくれてる。
「……また、会いたいなぁ」
今夢で声を聞けてるんだから、次は会えるかもしれない。
淡い期待を抱きながら、覚束ない足取りでマンションのエレベーターに乗る。
手に持つ携帯に、なんともリアルな夢だなぁと感心してうんうんと頷いた。
「…………この間、オススメだって言ったお店あったじゃないですか。あそこリニューアルオープンしたみたいで……よかったら一緒に行きませんか?」
ほんと、素敵な夢だ。
また会う約束までできてしまったんだから。
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