第五歩 煌めく

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「え……なにこれ」  重い頭を襲う言い様のない衝撃。  けたたましく鳴り響くアラームを止めた画面に、見覚えのないメッセージが表示されていた。 『約束、忘れないでくださいね。土曜日待ってます』  簡潔な文章の後に続く10時に駅前でという文字。  何度見返しても、電源を一度落としてみても変わらないその文字列は、覚めない頭が意味を理解するまでに相当な時間を要した。 「……もしかして」  冷静になろうと顔を洗ってもう一度携帯を手に取ると、素早く発信履歴を表示する。 「夢じゃ、なかった」  どうやら私は無意識のうちに電話をかけてしまっていたようだ。——簡単なやり取りをするだけだった、たった一度しか会ったことのない優しい年下の青年に。  ど、ど、どうしよう……!  冷静に分析している場合ではない。幸いにもじわじわ体を支配する罪悪感やらなんやらで意識は完全に覚醒している。  とにかく謝らなければ。そう決心したものの、どうしていいかわからずに出社時間ギリギリまで携帯とのにらめっこが続くのだった。
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