第六歩 蝕む

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「お姉ちゃん!?」  重い音に振り向いた先にはここにいるはずのない姉の姿があった。否、ここにいてはいけない姉の姿が。  ピンク色のパジャマのまま人工芝に横たわる姉の元に慌てて駆け寄った。  荒い呼吸を繰り返す姉は、辛そうに顔をしかめて、それでも私に向かって必死に声をかける。 「ごめん、ね……ごめんね、かおちゃん、私、気づかなくって」 「お姉ちゃ……っ!」  その時だった、姉の体を抱き起こそうと手を伸ばしたその時。  触れた肌が、熱かった。  じゅわりと、肌が溶けるような熱。  体の奥底にある熱源が、中から姉のことを焼こうとしているかのような凄まじい熱。  そうして私が触れることをためらった一瞬のうちに、姉は意識を手放した。  当然だ、本当だったら絶対安静にしていなければいけなかったのだ。いきなり動いて、きっと私を探すために走ったのだろう。  お姉ちゃんが倒れたのは私のせいだ。こんなに苦しんでいるのも、私がひどいことを言ったせい。  後から聞いた話だと姉が倒れたのは高熱による発作が原因だったようだが、駆けつけた両親や看護師が来るまで私の手を震わせた熱は、幼い私にはさながら地獄の業火のように思えた。    
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